小説書いてます:コミュ障小説「真人間になりたくて」

ニュース

ふこ、こんにちは。小説書いてみようと思い立ち、遊び半分で書いていきますのでよかったら購読お願いします。

更新記録:8月15日更新しました

第一章

第一節/第二節/第三節/第四節/第五節/第六節/第七節

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

第一章

第一節

目が覚めると天井を見上げていた。 白い布団に白い壁。俺は何も覚えていなかった。
ただ、背中がしびれながら見上げる天井はどこかで見たことのある景色である。でも思い出せない。

ーーーいや、思い出せないのは何も今見ている天井だけではない。 この場所になぜ自分がいるのか、そして、この白い空間は何なのか。この個室にいる理由だけでなく、そもそも何もかにもが思い出せなかった。

部屋には、畳まれた一台のPCだけが私の手の届く範囲にある。まるで、生まれた頃から育てなついたペットのように、こちらを向いて何かを語りかけているようである。が、それがなぜそこに置かれていて何をするためなのか全くもって心あたりもない。

…コンコン、ドアをノックする音が聞こえた。 俺は「はい、どうぞ」と答えた。どうやら俺は記憶喪失ともいうべき、いや、今いる場所も分からず、どうやってここに来たのかも分からなければ、自分自身の名前すら分からないこの状況は、もはやそれ以外の何物でもないだろう。

しかし、目覚めたばかりのはずなのに、なぜか驚くほど体が反応して、快活に私はそのドアの向こうの誰かに向かって返事をし、その得体の知れない客人を招き入れたのだった。

「気分は、いかがしょうか」

白い衣装に胸元に整然とぶらさがった名札、後ろでキッチリとヘアピンでまとめ上げられた髪、隙の無い恰好で現れたその客人は、おそらく看護師であろう。ここはきっと病院だと、その時、分かった。

「うん、いいね!でも、…何も覚えていないんだ。。。」

まるで自分の中の別の誰かがしゃべっているような不思議な感覚だった。自然に体が反応して気が付けば声帯を震わされるような、オートマティックな会話という表現をしてもおかしくないような、でも心は冷静で的確にその言葉を選んでいる自然なやり取り、

この違和感はなんなのだろう。

しかし、ここは病院であり、きっと何か俺は、生前に事故を起こしたのか、 (…それもまた変な表現ではあるが、もはや記憶をなくし思い出の一つも思い出せない俺に、生きた死んだなどはもはや意味をなさず、もしこのまま記憶が戻らないのであれば、それはある意味俺は一度死んで生まれ変わったとも言えるだろう)
はたまた病気で重大な手術でもしてあまりのショックで記憶を失ったまま目が覚めたのか。

分からない。

「少しだけ検査させて下さい」

その看護師は淡々と、何やら長い円筒形の器具をベッドの脇から取り出し、俺の頭の左こめかみに当てると数秒待ち、ピピッと音が鳴ると、

「順調そうですね。でも、起きている間に、激しい頭痛が襲うことがあるかもしれませんがその時はこちらのボタンを押してください」

ベッドの脇にあるナースコールのボタンを示すとその看護師は部屋を後にした。

「サンキュー、面倒かけるね!」

と快くその看護師を見送ったあと、脳天に雷が落ちたかのような衝撃を受け、俺はナースコールのボタンを押す余裕もなく、薄れゆく意識の中、夢を見た。

――― 面と向かった、あれは誰だろうか、顔は影めいていて描写できないが、そこに一緒にいるだけで窮屈な感じのするタイプの人間である。突然その人間は俺の胸を目がけて拳を固め、突いてきた。次の瞬間、後ろによろめいた私は足を踏み外し、階段を転げ落ちていく。転んでも転んでも、終わりのない、でもふと踊り場みたいなところがあるようで、ときおり、落ち着く間があった。が、一息つけたと思えばやはりまたゴロゴロと階段を転げ落ち、最下階を探っている様子である。体は満身創痍。 もうこれ以上、苦しみ続けるのはいくら夢であろうとも、いや、そもそも苦しみの正体には夢も現実もないのかもしれないのだれけれども、やはり正気を保つには限界が来たと、階段を転げながら意識の終わりみたいなものを感じた。

・、・、・。

ぼんやりと、どこかで見た白い天井。

今度ははっきりとどこで見たのか覚えている。これは眠ったのか気絶したのか分からないが前回、意識を失う前に目覚めた時に見た天井なのだ。おそらくではあるが、何度か目を覚ましては気絶して、を繰り返すうちに俺はいつしかこの無愛想で無機質な天井を次第に同一のもので形ある、存在するものとしてはっきりと認識するようになったのだろう。この世に生まれた赤子がこの世を、次第に逃れられない現実であると理解していくように。

つまりは、このなんの特徴もなく白々しい天井は今俺が生きている現実であり、少なくともこれが夢であるのか現実であるのかはさておき、”長らく世話になるほう”の世界であることは直感的に理解できた。

くだんの経緯から見ると俺はおおかた大事故に合い、その苦しみにもがきながら、寝ては覚めを繰り返し、次第に意識を取り戻したのであろう。悪夢を見るのもうなずけるくらいの肉体的な苦しみがきっと俺を翻弄したのだ。

目覚めとともにぼうっと天井を見上げるのに暇を覚えると、次に俺は上体をおもむろに起こした。まぶたのあたりがうすらがゆく、肩周りがもぞもぞと鬱陶しい。髪である。おそらく長期にわたり昏睡状態にあった俺は、その髪が無造作に伸び放題だったのであろう。 頭をかこうと手を伸ばした。

俺の頭は包帯でがんじがらめで、その隙間からのぞいた髪が俺の頭周辺をがさがさともてあそんでいたのだ。

包帯。そしてよく見ると腕には大きな裂傷や擦傷の痕があった。やはり俺は事故にあったのだろう。

―――コンコン。 ドア越しにノックする音が室内に響き渡った。

「あ、どうぞ」

―――ガチャ、

「気分はどうですか?うん、だいぶよさそうですね。少し検査しますね。」

手慣れた手つきでその看護師は俺の左こめかみに検査器具を当てた。

「今日は包帯をとりましょう」

包帯をほどかれ、ピンセットで何やら抜糸されると、俺はこれまでにない爽快な気分を覚え、つい気が付けば大声を上げていた。

「うぉぉぉぉしゃぁーーー!!! ありがとうぅぅうぅぅぅぅうーーーす!!!!!」

自分でも驚くほどの大声で、これは声音を間違えてしまったと申し訳ない気持ちになりながら、その看護師に「あ、すんません、つい。。」と詫びを入れた。

その看護師はクスッと、ほんの少しだけ口角を上げて笑うと「元気で何よりです。」と答えた。

「下着を持ってきましたので、後で履き換えてください。後ほど、医師による問診がありますのでしばらくお待ちください。」

そう言い置きして彼女は部屋を後にした。

第二節

部屋の周囲を見渡してみると、そこにはやはりPC一台がベッドの脇の棚にあり、一脚の椅子があるだけで、あとはとても無機質な空間であった。洗面所に、あとはトイレだろう、そういういわゆるよくある病室の一個室をより素っ気なくした感じの部屋であった。窓の向こうは冷淡な様相を漂わせている森、気味が悪かった。でもきっとこの付近で交通事故にでも合い、重体になった俺は近くの病院ということでここに運ばれたのだろう。

いかんせん何も覚えていない。

でもこうやって覚えていないことを自覚できていて、ここが病院であろうという推測が働き、このまま過去の記憶はないまでも俺は、言葉は発せられるし、今いきなり社会に放り出されても自活できる甲斐性はあるような自信があった。ただ、人間にとって良いも悪いも何一つ思い出がないというのは実に生き甲斐を欠くもので、もしこの先、俺の記憶が戻らないままだとするとゾッとした。が、きっと戻るという拠り所の無い自信みたいなものもまたあった。

俺はきっと思い出す。

まずは動き出そう。

そういえばさっき看護師が替え用にとベッドの柵に欠けていったトランクス。また地味な色だな、とぶつぶつといいながら下半身をもぞもぞと触ってみるとなるほど、俺は屈辱的にもオムツをはかされておりしかもそれは容量たっぷりに吸い込まれており今にも溢れだしそうになっていた。

おもむろにベッドからおり、そのトランクスを握りしめると、まだ寝起きで思うように動かない体を引きずり、体中のしびれや痛さを感じつつも室内のトイレに入り、履きかえた。

トイレから出る頃、ちょうどドアのノックする音が聞こえた。

「どうぞ〜」


【スポンサードリンク】


ガチャ、入って来たのは、坊主頭で白衣ごしに体格がガッチリしているのが見て分かる、中年の医師であった。

「こんにちは。担当医師の福本です」

第三節

「あ、どうも笠井、、え~、浩介です。」

自分の名前は忘れていなかった。というより勝手に口をついて出てきた。

それから簡単に挨拶を終えると問診が始まったが、驚くことに、俺は自分の出身地そして誕生日や親兄弟の名前そして顔までも、覚えていた。というか、この担当医師の顔を見るとなぜか自然と脳裏に浮かび上がってきた。

「でも先生、どうしてでしょう、俺は、記憶喪失でありながら自分の身の上のことは覚えているのに、思い出というかどうやって生活してきたのかまでは完全に忘れてしまってる」

「そうだね、でもそういうものなので気にしないで大丈夫。ストレスに感じるとかえって回復が遅れるから。これから笠井さんの記憶を取り戻す治療プログラムをやって、必ず社会復帰できるように支援するので焦らずにいこう」

「治療プログラム?何するんですか?」

「ああ、いや、大したことなくて、ちょっと退屈かもしれないけど院内で過ごしてもらって、こうやってカウンセリングしていくだけ、、手術とか投薬はないので気負わなくていいよ」

「あの、じゃあまず俺がここにどうして運ばれてきたのかだけ教えてもらえませんか?」

「まあ、脳挫傷、だね、、」

「どこで事故ったんですかね?」

「うん、そういうのがストレスにつながっていくから、やめとこう。次第に、自分で思い出すまで待つこと。ここで私や看護の者に聞いて確認をしても、それが本当に事実だったかなんて実感が湧かないよ。むしろ自分で正しい記憶を思い出す妨げになるんだ。分かったね?

なんだか納得がいかなかったが、まったく教える気がないようだったので、黙って分かりましたとだけ答えると、福本医師は後でリハビリトレーナーがくるので、その指示に従うよう言い付けて部屋を出ていった。

第四節

次に部屋に来たそのリハビリトレーナーは実に淡々と、事務的に言った。

「こんにちは。トレーナーの山崎といいます。、、目覚めて間もなく、体もだるいと思いますが、福本先生より指導のあったとおり、治療プログラムを始めていきます。とはいっても、別室にて過ごしていただき、そこで院内の他の患者さんたちと過ごすだけです。最長でも一か月もすればほぼ退院見込みとなるでしょう」

「ああそうですか、でも俺元気ですし、そんなに、待たないといけないものなんすかね?」

トレーナーの山崎は相も変わらず冷静に、

「そういうものです。では行きましょう。」

と病室の部屋を開けた。

病室の外に出ると、そこは一面、白いタイル張りの通路で、まるでSF映画さながらの、あの無機質な宇宙ステーション内を思わせるような雰囲気だった。何もない。病院とはまた打って違った表情を持った空間であった。よく見ると等間隔で個室への入り口らしきドアが並んでいていたが、何の情報も伝えないその扉の奥に人っ気を感じられなかった。

そんな非日常な空間をただ、淡々と歩くその山崎トレーナーの後をついていくも、突如暇になった俺は話しかけた。

「ここ病院っすよねぇ?どうしてこんなに殺風景というか、何にもないんすかね?なんか怪しい実験してるとか、へへっ。」

「・・・。患者さんのことを考えてのことです。」

そうぶっきらぼうにトレーナーは答えた。その後も俺はなんか暇で色々と茶化したが、この味気ない施設と同様に、反応も冷めたものであった。なんとつまらない施設に収容されてしまったのか俺は、、と暇になってしまった。

その長い通路を歩くこと数分、山崎は足をとめ、案内を始めた。

立ち止まった扉の上には、”コミュニティセンター”という表札が掲げられていた。

「ここにお入りください。」

胸元にぶら下げられていたカードを備え付けの機器にかざすと、扉が両側へと開いた。

第五節

手を指し示されるがままに中に入った。コミュティセンターなどと仰々しく謳っているわりにはそれほど広くはない。コンビニが2つ分程度の広さだろうか。壁面には本が並んだ本棚が部屋の半分ほどを埋めており、それに読書机、中央には長いデスクの上に数台のPCが並んでいた。そして、部屋のもう半分はドリンクバーのような飲料サーバー、話をするための喫茶スペースが設けられていた。

そして、人。

数えると、一、二、三、、そうしているうちにも、2人ほど入ってきたので、全部で10人程度がこの部屋にいた。

そのほとんどが部屋半分の読書スペースやPCスペースでひたすら黙々と自分の世界に没頭している。また、表情は沈んでいていかにも、根暗というか、まぁコミュ障というのか、そういうタイプの人間たちであった。なんとも居心地の悪い空間だ。

「ここは、このクリニックの患者さんが集う、そうですね、憩いの場とでもいいましょうか。同じ仲間と思って、日中、暇ができたらここでお過ごしください。消灯は21時になりますので、朝からそれまでの間は行き来自由です。 出入りできるIDカードを渡しておきます。何か質問ありますか?」

「ここにいるのはどういった人達で??」

「…、それはプライバシー上、詳しいことは言えませんが、笠井さんと同じように、このクリニックの患者さんですね」

「みんな、何してんですか?」

「いや、とくに。やりたいように過ごしているだけです。こちらサイドから何か強制するようなことはないのでリラックスしていただければ、と思います。」

…、と山崎トレーナーは言っていたが、天井には数個の監視カメラが声を出さないまでも常に神経を張り巡らせている刑務官のように室内をにらみつけていた。ただの休憩所みたいな場所ではないことはすぐにわかった。が、今のところ俺に許可されている可動域はどうやらこの得体の知れないコミュニティセンターと自室だけ、いずれにしても一か月程度で退院できるとのことだから、大人しくいようと思った。

「では、後はご自由に。朝食・夕食はお部屋までお持ちしますが、お昼だけはこちらのコミュティセンターでお召し上がりください。12時くらいになりましたら係員がお持ちします。」

「ランチはここの部屋で食べるんですか、どうして?」

「規則です。」

そうぶっきらぼうに言い残すと、山崎は一礼してコミュニティセンターを去っていった。

第六節

時計は午前11時半を指していた。いきなりこの部屋に放り出されて何をやればいいのやら。。

今一度室内を見渡すと、初めは根暗なやつだらけと思っていた室内にも、いかにもお喋り好きで周囲の空気とは異彩を放つ垢抜けたグループがテーブルで談笑しているのが見てとれた。

その中の一人と目があった。

「あ!新しい人だね!こっちへ来ない?」

なんだか馴れ馴れしかったが、何をしていいかもわからない俺は、本当に自分のことを呼んでいるのかを確かめるために、目を見開いて自分を指さすと、向こうは頷いた。俺はためらわずその男の方へ歩んでいった。

「こんにちは。僕は鈴木。それから、、」

その男は名乗ると、グループのメンバーにも紹介するように合図した。

「中西です。どうも」

「田代敦子、よろしくね」

「内藤沙織、はじめまして」

鈴木と中西はいかにも元気な若者で、ザ青春をエンジョイという類いの、まおネット用語でいうところのリア充であった。同じく田代、内藤、彼女らもまた気兼ねなく男性と友達としての距離感で和気あいあいと付き合えるタイプの明るい性格の女子、そういう感じであった。

よくファミレスとか居酒屋で見掛ける様なタイプの仲良し連中である。

「うっす、おれ笠井。よろしく!っ、、、っつっても実は事故ったかなんかで実は何も覚えてなくてこの病院に世話になってるようでね、、まぁ記憶喪失ってヤツで、もしかしてキミたちって俺のこと知ってたりして、、、な、わけないか。」

その男女4人はお互いに目を合わせると、グループのリーダーっぽい鈴木が口を開いた。

「ぁあ、やっぱりそうなんだ、そう、俺たちっていうのは、何というか、まぁ、みんな過去の記憶がないんだよ、みんな。 だから色んな事情があってここに世話になった、そういうことだろう、、・・・って、暗くなるから、こういうのはもう深く考えないようにしようぜ!」

「ああ、まぁ」

それから、下らない話をその輪に加わってお喋りした。

みんな過去の記憶がないにしても、なぜか違和感なく盛り上がり、色々な話をした。

第七節

この病院での生活は、このコミュティセンターと自室の往復であった。

コミュニティセンターで食事をとっては



アナタは私と似てる?>>管理人はこんな人






【スポンサード リンク】