燎原はりょうげん、と読みます。同僚(ドウリョウ)の僚に似ているので、火のへんに寮の うかんむり なしで、リョウと読むのはなんなく察しがつきます。
燎原の意味は
焼けている野原です。焼き畑農業の際に火を放ちごうごうと燃えていく様子もそうですが、それよりも、山火事などで原野に火が燃え移り、風に煽られ次々に燃え移り火勢を増していく様子を表すといえるでしょう。
しかし現代の日本の日常において、この燎原とは死語になりつつあります。
そういう場面があまりにもないからです。
戦国時代には草原に火が放たれ、燃え盛る原野を奔走する様子や、自然火による山火事で火が次々と燃え移る場面が往々にしてあったかと思います。しかし、コンクリートだらけの現代にあっては、燃えるものもなく、また人々の心も元気がなく、燃えず、つまりは燃焼するための原料に乏しいがために、この燎原、と表現する場面に日本では出くわさないのが実情だと思います。せいぜい、田舎の田んぼや畑で、ボヤ?なのかなんなのか分からない、おそらくは農家さんの私物を処分するための炎が土地のすみっこで、なんとなく盛んに燃えているのを目の当たりにするだけではないでしょうか。
燎原は燎原の火という形で受け継がれる
燎原という言葉だけではおそらく2050年代ごろには完全なる死語になっているような気がします。人間は他の動物が嫌う火を治めるようになるにつれ、動物界の頂点に立つようになってきました。火は神力の一つといっていい自然現象なのかもしれません。
それであるがゆえに、この言葉はただ、現象の減によって消えてしまうのは、あまりにもしのびないということです。
燎原の火、それは原野に放たれた火が加速度的に燃え移り燃え盛る様子を表します。
つまり、これぞこの言葉の受け継がれる真髄。
この記事を書いている2020年代にあっては現存の人類が直面する、ウィルスのパンデミックがまさにその意味にマッチすると言えます。
新型コロナウィルス、COVID-19。
これは中国に端を発し、瞬く間に世界へと広がりました。それも短期間のうちに予想以上の伝播力で。
これこそ、人類が後世に振り返るとき、
あの頃、人類は新型コロナウィルスに侵されたくさんの人が肺炎で苦しんだ。それは全世界に燎原の火のごとく広まり暗黒に陥れた。
というように表現されるのでしょう。
燎原(の火)とは、いまや、次々と対象物が伝播していく様子を意味すると言っていい言葉だと思います。
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