
鼎立(ていりつ)は三つの勢力が並んでいる様を指します。いわゆる三つ巴の状態です。それぞれの規模や実力がだいたい同じくらいの状態をさす、いわば三国志をイメージするとよいでしょう。三位一体(さんみいったい)と類語みたいですが、対立関係にある状態のため意味が全く異なります。三権分立(さんけんぶんりつ)の方がニュアンスとして近しいでしょう。(※三権分立…司法(裁判所)、立法(国会)、行政(内閣)にそれぞれ権力を分散させている国家の仕組み)
鼎立の使い方
- 部長と事務局長、企画室長は互いに譲らない性格でいつも何かにつけて揉めており、鼎立している。
- この新商品のマーケットはまだせまく、今後広げていくためには、特許をとって独占するよりも業界の3社が鼎立しながら切磋琢磨していくようがよいだろう
- かつてお笑い業界では明石家さんま、ビートたけし、タモリの御三家が鼎立、テレビ番組で彼らの姿を見ない日はなく一世を風靡した。
鼎の漢字の由来
〇〇県の県、みたいな漢字だけと違う、鼎(かなえ)
鼎とは、中国の大昔の調理器具で三つの脚がついた鍋です。三つの脚があるので下から火をかけるのに便利ですね。現在のガスコンロについている受け金具の部分(五徳)の原型となる器具です。
これです。
この鼎の三脚はどれも同じバランスで存在していますが、まさにこの三つが同じ力でいる状態こそが鼎立、ということです。一つが突出していると鼎立した状態とは言えないでしょう。
三位一体とは違う
三つのものを表す言葉に、三位一体(さんみいったい)という熟語があります。鼎も三つの脚がひとつの鍋を支えて立っていることから三位一体ではありますが、言葉としての鼎立は、お互いに競合関係にあるため、真逆の意味合いです。
鼎談(ていだん)
同じくこの鼎の持つ三つという言葉に談の漢字を組み合わせて、鼎談(ていだん)という言葉あります。その意味は、三人でする会談です。二人の場合は対談といいますね。
県談ではない
ちなみに、この鼎談(ていだん)を誤った県談(けんだん)とグーグルで検索したら、なんと、
きちんと、鼎談で結果が出てきます。これはすごいですよね。
それにしてもこの鼎立という言葉は人生で何回使う言葉でしょうか。クイズに出てくるくらいのニッチな言葉でもしかすると知らなくても支障のない漢字かもしれません。
しかし、この鼎という古代調理器具が現代の調理器具の原型(ガスコンロ台の火の出る部分の脚)になっていることを考えると思いを馳せずにはいられません。
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