ビアボールの意味

この間、会社の同僚で飲み会にいった際に、隣の席のグループの賑やかな方から教えていただいた話です。

ハイボール、というウィスキーを炭酸で割るお酒の飲み物があります。これをビールで割るという発想、ビアボールですが、その前に小噺。

飲料総合メーカーのサントリーが戦後仕掛けて流行ったウィスキーの飲み方提案、時代はそこから廃れてウィスキーは2000年代くらいから右肩さがりに。でもそれに危機感を感じて大々的にサントリーがハイボール提案を仕掛けたのが2010年くらいだったでしょうか。ウィスキーがお好きでしょう?というCM曲とともに、そこから一気にハイボールブームは再燃し、世はすっかりウィスキーブーム、むしろ原液が足らないとまで言われるようになりました。日本のウィスキーもすっかり世界的にひっぱりだこで高級なウィスキーは熟成に時間もかかるしで、、ちょっとした枯渇状態になりました。

ちなみに、炭酸で割る飲み方をハイボールといいますが、焼酎を炭酸で割った飲み物が、つまり焼酎ハイボール、略して酎ハイですね、これ酒場のコネタ。

さて本題のビアボールの話です。

なぜ?ビアボールはビールを炭酸で割るから

ビアボールは、ビール(beer)+ハイボール(highball)の略です。

新しい飲み方提案です。

しかし、これを割るのがビールです。ビールは醸造酒であり、本来は割るものではありません。大体はお酒を割るときに用いられるタイプは蒸留酒と呼ばれるタイプで、ウィスキーやブランデー、ウォッカ、焼酎など、いわば醸造酒を蒸留したものです。醸造酒とはビールやワイン、日本酒のように素材(麦・ぶどう・米)を発酵させて作ったお酒、蒸留酒とはそれらの醸造酒を火にかけてアルコール分だけを取得したものです。乱暴にいうとビールの醸造酒がウィスキー、ワインの蒸留酒がブランデー、日本酒の蒸留酒が焼酎、リンゴ酒の蒸留酒がカルヴァトスという具合です。

そうした中、あえてビールという醸造酒を割るこの度肝を抜く提案。以前、同じ業界のキリンビールが、アイスプラスビールといって、缶ビールだけど氷を入れて楽しむタイプのビールの提案がありましたが、それを彷彿とさせます。

それにしても、このサントリーが提案するビアボールの正体やいかに。

アルコール度数16%のビールを割る

そう、このビールは原酒として用いるのですが、そうすると当然度数は高くなります。16%というと、ワイン以上日本酒未満というようなアルコール度です。

このアルコール度数はどうやって作ったのか?

ビアボールの原材料を見ると、

原材料名:麦芽(外国製造)、ホップ、糖類

とあります。ほぼほぼ麦芽100%です。ですがアルコール度数を高めるために糖類(ビール酵母のエサ)を添加し、発酵度を高めたのでしょう。

つまりこれは、いわゆるバーレーワイン(Barley Wine ※麦で作られたワイン)に近しいものでしょう。

注ぐとこんなにも濃色の液体でした。しかししっかりとした、粘性のある泡立ちです。

※画像は泡立っていませんが、トクトクと注ぐとしっかりとクリーミーなもちもちした泡が立ちます。

ビアボール 色合い

ビアボールの液色、色合い

ビアボール 氷割り ロック

ビアボールを氷割り(ロック)で仕込んだ状態

ビアボール、うまい!

ストレートで口にすると、濃縮されたエキスとアルコールの重厚で芳醇な味わいと香りが口内に広がり、これ単体で優雅な気分になれる風味です。週末に飲みたい濃さです。

まずは氷を入れず炭酸で割りました。

 

泡のもちもち感があるので炭酸で割っても普通のビールのような泡の感じです。

うまい!

ビアボール、うまいです。

次に、正当な飲み方とされる氷を入れて原液を注ぎ炭酸で割るタイプでやってみます。

サントリー ビアボール

サントリー ビアボール。氷を入れて3対1で炭酸で割ると美しいグラデーションのビールに。

これは!

しかし、あんまり合わないようにかんじられました。すっきりはしていますが、氷によって風味が飛びます。例えるなら、粉のインスタントコーヒー、らしさはあるけど何かが足らない、そんな味わいとなります。

なので、このビアボール、キンキンに冷やして氷を入れずに割る、または原酒をロックでちびちびやるのがいいような気がします。

ただ、飲み会の席だとアルコール度数の調整が利くのは助かります。ある程度飲んで、翌日に残したくない、でも飲み会の楽しいムードを保つために一定のほろよい感を楽しみたいときには自分で調整できるこのビアボールは理想の飲み物なのかもしれません。

発売は2022年の10月だそうです。炭酸で割っておいしいビール、ありそうでなかった新しいコンセプトです。

 

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