
カブトムシを幼虫から飼育しているとどうしても、めぐり合う悲しき現象が羽化不全です。(羽化不全の意味:羽化する時(サナギから脱皮するとき)うまく羽が形成されず、障害を追ってしまうという症状)
羽パカだと匂う
オスのカブトムシの羽化に失敗して、羽パカとなったとき、足の臭い、膿のような匂い、がすることに気がつきました梅雨時のこの頃です。生まれたばかりだから臭いんだろう、脱皮した皮も湿っているし、、と思っていました。しかし、その後、メスのカブトムシが羽化成功した後の匂いは全くなく、これは、もしかすると羽化失敗により何か組織が傷ついて体液が外に漏れ出てそれが匂いとなっているのではないかという仮説がでてきました。
※この記事は虫の写真が出てきますので苦手な方はご注意ください。
カブトムシ飼育録
カブトムシを飼ったきっかけ
ここでカブトムシ飼育のプロセスを振り返りたいと思います。
私は素人です。
小学生一年生の息子の影響でカブトムシを飼い始めました。
昨年の夏、帰省した妻の実家で捕まえたクワガタを、息子からの要望で、虫かごに入れて飼ったのを切っ掛けに、興味関心が芽生えました。相変わらずG〔ごきぶり)に見えて、衝動的にギョッとするのですが。
しかし、私自身が、幼少期の頃にカブトムシに興味があったのも事実です。(男の子が戦隊ヒーローものをごく普通に惹かれるようにカブトムシもその範疇であったのかと思います、、あの格調あるフォルムに)
そういう縁もあり、今年は知人から
「興味あるんだったら分けてあげよう、幼虫2匹」
と、分けてもらったのでした。
カブトムシの幼虫はすくすく育ってサナギになった
もらった幼虫たちは無事、サナギになりました。とはいっても本当にうまくサナギ化したのかどうかは不明でしたが、蛹になる前のワンダリングという現象(飼育ケースをガリガリ噛んだり、もぞもぞと動いている音が夜中に聞こえてくる)があったあと、一気に静まり返ったので、これはうまくサナギになれたのだろうと判断しました。
ここまではよかったのです。
しかし、息子の好奇心を止めてあげられなかった。。
「パパ、サナギになったなら見てみたい」
と目をキラキラとさせてせがむ息子に抗えず、また私も地中に埋もれているサナギを掘り起こしたい気持ちが昂り、
「じゃぁ掘ってみよう」
と無知な私は、サナギになったところを息子に見せてあげようと、掘り出そうとしてしまいました。
結果的に、なかなか出てこないので、途中で諦めました。しかし、これがいけなかったと後からネットを調べて気がつくことになります。
サナギは土の中に埋もれているのではない、土の中に繭のような空間を作っている
そう、サナギは、土の中にもさっと黙って埋もれているのではないらしいのです。
脱皮(羽化する)して成虫になるための空間を土の中に作るのです。蛹室といいます。口からの粘液と糞でペタペタと堀り起こした空間の壁を塗り固めて作るのです。
これを知らなかった私は、幼虫みたいに掘ったらあのサナギの姿で埋もれているものだと思ったのです。
そうっとそうっと堀ったものの、あきらめて最後、その外に出した土をドサッと飼育ケースの上からかけてしまった―、、
あとからそう気が付き、もしかすると蛹室を壊してしまったかもしれないと、
一大決心をして人口蛹室を作ることにします。
一リットルペットボトルをくりぬいて土で側面に空間を作り固める
ペットボトルを切って、土で蛹室を作ればいい、とのネット情報を得て、そのようにこしらえました。われながら上手くできたと安堵していました。
オスのサナギの色がまず黒ずんできて早速、羽化の兆し、、
しかし!
人口蛹室が崩れた!
やはり人間が土で固めた人口蛹室はもろい。蝋で固めた鳥の羽、が太陽の熱で溶けたイカロス状態。
サナギからウニャウニャ動くとどうやら土が崩れて、国産カブトムシ羽化時の鉄則である縦の状態を作れず、横たわる様子になってしまいました。それでもまだなんとか斜め45度くらいの傾きを保っているからぎりぎりセーフかと思いきや、、
体を翻した時に見えた羽はへこみ、中の薄羽が出たままになっていることに気が付きました。
この時は、まだ臭くなかった。。
羽化後に一気に匂いを発する羽パカのカブトムシ
羽化した後から妙に匂いがすることに気が付きました。
臭い。
これははじめ、私の仕事帰りの靴下の匂いだろうと思っていました。しかし、私の靴下を嗅いでみると、、
臭い。
そう、しかし、くさいのですが、明らかにこの漂う匂いとは違う、これはカブトムシからくる匂いだと思い、カブトムシの匂いを鼻を近づけて嗅いでみました。
働きづめで蒸れた足のような匂い、すっぱく汗臭いのがしばらくたったような匂い、そういう感じの匂いが明らかにカブトムシから漂っていました。
三日後もやはり臭かった
何度も、これは最初だけだろうと思っていました。
しかし、三日ほどたって、体が渇いてきた後も、その匂いは消えることはありませんでした。
その間、羽化失敗の反省を生かし、ペットボトルで作った人口蛹室で羽化(成功)させたメスの匂いを嗅いでみると、まったく臭くないのです。

トイレットペーパーの芯で羽化成功したメスのカブトムシ
つまり、羽化したら臭いわけではなく、羽化がうまくいかなった時、臭くなるのだと分かったのです。
羽化不全で臭くなる理由
背中が露出するから
多分ですが、羽化不全となることで、本来隠れていなければならない背中の、あのグロいしわしわの部分がもろに露出するからだと思います。あの部分は湿っぽくて、人間でいうと足とか脇とかの部分になるのではないでしょうか。そこが羽が閉じないことで匂うのではないかという推察
傷ついているかもしれないから
もう一つは、傷がついてしまうから、と思いました。本来閉じてなくてはならない部分が露出することで傷がつき体液が漏れ出ている、それが匂いを出しているのではないかという推察です。
元気ではある
ただ、元気な個体ではあります。
しっかりと歩き、エサも食べているようです。はやく、この匂いが消えてほしいと、つまりは見た目は悪くても健康体になってほしいと願うばかりです。
このような体では外で生きていくのも大変でしょうし、何より私の無知のせいで羽化不全になったともいえるので、最期まで育ててあげたいと思います。
同時に、
人口蛹室は、ペットボトルでトイレットペーパーの芯のように筒状に作りさえすれば、うまく羽化することが体感できましたので、私と同じように大人になって飼育デビューした方は参考までにどうぞ。できれば掘り起こさないのが一番ですが。。
結論、羽化不全で臭いのではなく羽の中が臭い
後日談で分かったことですが、羽化不全だから臭いわけではないということが分かりました。
羽化成功したカブトムシも飛ぶ時に羽を広げたら臭い
そう、あの甲羅のような固い前羽を、機械的にパカっと、開いて中の薄羽を開く時、中から蒸れた足の臭いがするのです。つまり、考えてみれば当然かもしれませんが、普段閉じて蒸れているから、羽の中は臭いものだ、つまり、羽化不全の状態だとその臭い部分が肌けた状態になっているため、臭い、そういう科学的理論です。
カブトムシの禁断のニオイ、嗅ぐと幻滅するほどのニオイの核心は背中と羽のふぶんの胴体にあり、我々人間の閉じた部分、脇や陰部が臭うのと同じ、というわけです。
でも、土の中に潜り出すとだいぶニオイは消える
そう、いつまでも臭くはありません。徐々にこなれてきて、土の中に潜り始めるとニオイがとれて臭くなくなりめす。羽化三週間後にはそれほど気にならなくなるでしょう。一か月もすぎるとほぼ異臭はなくります。
羽化不全の場合の寿命
長生きできます。上記の例でいうと、なんだかんだで一番長生きしました。3匹飼っていた中(うち1匹はメス)、通常のオスを差し置いて、一番長生きできたのはこの、羽化不全のオスのカブトムシでした。
コメント
羽化不全の場合、はじめはくさいですが、徐々に匂いも薄れてきます。土の中にもぐって固くなってくると段々と表皮も安定してくるのでしょう。
せっかく生まれた命、最後までお世話しましょう。
私も飼っているのですが(カブトムシの幼虫を)もう少しで蛹になるというところなので、その経験を生かさせてもらいます。ありがとうございます。