間然という聞きなれない言葉に出会いました。こういう、見慣れた漢字の組み合わせでいながら普段あまり聞かない言葉というのは、好奇心をくすぐられます。
間然の読み方
読みは、かんぜん、です。何もひねっていない!このあまりにも素直な読み方でいながら意味が分かりづらいこの言葉、実に奥が深いです。
まぜん?あいだぜん?
あまりにもシンプルすぎる言葉は時として素直に読んでしまっていいのかと、不安や疑念が沸いてしまうものです。私はこれを「まぜん」と読むのではないかと思いました。
間のある然、間がある感じということですが、、
この、漢字がシンプルすぎてかえって意味がくみとれないこの熟語、どういう意味を持つのでしょうか。
間然の意味
それではいよいよ核心に迫ります。
間然、その意味は、「欠点、非難されるような短所」という意味です。
これが不思議。
どうして間、という漢字にそういう意味を持たせるのか。然というのは他の漢字にくっついて「そういう状態」ということを指します。例えば、平然とする、というのはつまり、平=平常な状態であるという意味を持ちます。
ということは、間というこの、これ以上分解できなさそうな字には、他にもそういう意味があるというのか―
間の意味
間、というのは読んで字のごとし、すきま、や2点間の距離や時間のことをいいます。
一方で、間抜け(マヌケ)という言葉があります。
これは、つまりは愚かである、俗にいうとバカということです。
マヌケの由来は、間≒テンポやリズム、と捉えることができますが、つまりはこのリズムが狂ってトンチンカンな感じがするということで、転じてバカっぽいということです。
そこから拡大解釈すると、間、という漢字にはズレている、そこから発展して欠点として人の目に映るということになると考えて差し支えないのではないでしょうか。
間然の用例
間然という言葉は、それ単体で用いられることよりも、否定語を伴って表現されることが多いです。
私が出会ったのは、推理小説の「屍人荘の殺人 」です。
そのあとがきで、
「核となる事件そのものは、展開といい、不可能演出といい、最期の解明といい、間然とするところのない、紛れもなく水際だった本格ミステリである」
と評されている部分です。
間然とするところがない
この、否定語を伴って、申し分ない(もうしぶんない:優れていて指摘するところがないという意味)というような意味合いを持つのが、この間然とするところがない、という言葉でしょう。
否定語でありながら、誉め言葉となります。
ちなみに、同じ読みで同じ音の言葉に敢然(かんぜん)というのがあります。これは難しい熟語の一つではありますが、勇敢の字に想起されるように、思い切って物事にあたる状態のことを指します。間然と比べると分かりやすいですね。
、、いやぁ、言葉って面白いですね。
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