蔵前価格、というのは流通業界(メーカー・卸・小売)で使用する言葉です。
蔵というのは倉庫、つまり商品を保管したり、仕分けするためのセンターです。このセンターというのは、小売企業が自社で用意していたり物流会社に委託して運用しているものがあります。
当然ながら運営費用がかかるものです。
蔵前価格の意味
蔵の前、つまりはセンター前価格、センターに納品する前の納品価格イコール生産者(メーカー)の仕切り価格のことです。 仕切り価格というのは仕入れ価格を逆の立場から表現したもので、業界用語としてはNET(ネット)価格や建値などといいます。
蔵前価格に色々な諸経費が掛かってグロス価格(最終の納品原価)となります。蔵(センター)に入る前の値段(生産者価格)が1000円となります。次いでセンターに入るとして今度は保管料 3%や仕分け料7%(センターフィなどといいます)などが乗り、卸業者のマージン10%が乗っかってくると最終的に原価に20%がオンすることになり、1200円の価格に仕立てあがります。これが小売店などへの納価(原価、グロス価格)となります。
原価構造を把握する上で蔵前価格の把握は必須
メーカーとユーザーの橋渡しをするベンダー(卸業や商社)に勤める場合はもちろんのこと、社会に出れば必ずこの利益計算が必須となってきますが、その計算のもとになるのが、いくらで仕入れたか?です。そのためにはどの段階でどう原価が乗っかってきているのかを把握できていなければ交渉もスムーズにいきません。
まずは大元となる蔵前価格がいくらなのか、ここに目途を付けられるかどうかはビジネスをしていく上での重要なポイントになるでしょう。
それにしても、この蔵前価格という響きは てやんでぃ、の江戸っ子的な、歴史的な響きがあります。上代(じょうだい)に下代(げだい)という商売上の表現がありますが、上代は小売業者の販売価格で、下代は仕入価格です。ちなみにこの下代は、小売業者が卸業者から仕入れる際、メーカー価格(蔵前価格)に口銭(こうせん)といういわば仲介手数料(配送料やセンター運営費を含む)などが乗っかって出てきた卸売業者の提示する納品価格のことをいいます。ザ 商売 的な表現ですね。
流通関係の仕事では解釈が必要な言葉です。
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